〜第8話 アームズマイクロン誘拐事件・前編〜

ある夜の事。ここはとある動物園である。


?「見つけたでぇ……」


翌朝。ここは、ナイトビートと東海道イエローの下宿先である。


ナイトビート「ふむ、『アームズマイクロン動物園から、飼育されている動物型アームズマイクロンが誘拐される』……ですか」

イエロー「アームズマイクロンが誘拐か……武器商人か何かが、誰かに密売でもしようとしてるのかな?」


?「あら、それもおかしくはないですか?」


ビューティ「アームズマイクロン動物園のマイクロンさん達は、確か変形しても攻撃力が無いようにプログラムが追加されているんでしょう?」


彼女はキュアビューティ。ナイトビート達の下宿先の若主人で、キュアハッピーのクラスメイトである。


ピンポ〜ン!


?「すみませ〜ん、アームズマイクロン動物園の者ですが、ナイトビートさんはご在宅でしょうか?」

ナイトビート「イエロー、どうやらその謎は私たちが解くことになりそうですよ」

イエロー「それじゃ、早めに朝食済ませちゃおっか」


〜そして。〜


アルクS「アルクで〜す!」

シエルGR「シエルで〜す!」

アルクSシエルGR「二人併せて、『アルク アン シエル』で〜〜〜す!」


イエロー「……ナイトビート、今のどういう意味?」

ナイトビート「……若い子には伝わりづらいネタですね」

アルクSシエルGR「…………」

ベーハーB「コ、コホン」


ベーハーB「えー、ナイトビートさん。ウチの職員が失礼いたしました。わたくし、このアームズマイクロン動物園で園長を務めております、ベーハーBと申します」

ナイトビート「ナイトビートです」

イエロー「相棒の東海道イエローです」

ベーハーB「今回は誘拐事件の捜査依頼を引き受けてくださって、大変感謝しております。さあ、こちらへどうぞ」


ナイトビート「ほほう、これは……」

ベーハーB「御覧の通り、わが園は『アームズマイクロンとの直の触れ合い』をテーマにした動物園となっております。ご依頼があれば、アームズマイクロンのレンタルなども行っております」


ベーハーB「アームズマイクロン達には『去勢プログラム』というパッチを当てておりまして、これによって武器に変形しても全く殺傷力を発揮できないようになっております。
ですので、アトラクションショーなんかをされるお客様からレンタルの依頼があることも多いですね」

ナイトビート「なるほど。それで園長、さらわれたアームズマイクロンと言うのは?」



ベーハーB「はい。ゴラII、ノジ、グル、イダがそれぞれ一匹ずつ、昨日の深夜に突然何かに空から連れ去られていったのです。
不幸なことに、我々の職員の中には飛行能力を持つ者がおりませんでしたので、後を追う途中で見失ってしまいました」


ナイトビート「なるほど……ところで園長、いくつかお訊きしたいのですが、この動物園ではゾリも飼育されていませんか?」

ベーハーB「ええ? あ、はい。確かに何匹か飼育しております」

ナイトビート「それで、昨日はゾリは全てレンタルされていて、園から出払ってはいませんでしたか?」

ベーハーB「はい。確かに昨日はゾリは園内には一匹もいませんでしたが……どうしてご存じなのですか?」

ナイトビート「いえいえ、何となくね。それから、そのアームズマイクロン達に施されている去勢プログラムは、解除は可能なのですか?」

ベーハーB「はい。普通は難しいですが、プログラミングに精通した人間であれば可能かもしれません。『去勢』とは言っても言わば貞操帯のようなプログラムですので……」

ナイトビート「わかりました。有難う御座います」


ナイトビート(フム……“あの組み合わせ”を知ってて、アームズマイクロン達のプログラムを解除できるような奴と言えば、“あんにゃろめ”しかいません……)


〜その頃。〜


ダージガン「ボス、大変や!」


クライオテック「何だよ、騒々しいな」


彼はデストロンの犯罪王にして、ナイトビートの宿命のライバル、クライオテックだ!


スラスト「ナイトビート! ナイトビートだブーン! あの動物園にナイトビートが現れたんだブーン!」

クライオテック「何? ナイトビートがもう嗅ぎ付けてきたと?」

ダージガン「……また百均の電池で作ったエネルゴンキューブかいな」

スラスト「ハチミツ食べたいブ〜ン……」

ダージガン「あ、で、どないします、ボス?」

クライオテック「どうもこうもあるかい! 百均の電池でもエネルギーはエネルギーだ」

ダージガン「や、そうやなくてな……」

クライオテック「待っておれ、今に石油でもルビークリスタルでもたらふく食わせてやる」


ダージガン「あないに動物型のマイクロンばっかさろうてきて……ホンマにあれが宝の山になるんでっか?」

スラスト「エサ代もバカにならないブ〜ン」


クライオテック「ふふふ、一般にはあまり知られておらんが、あの四匹にゾリを加えると、スーパーコンボウェポンを超える『ハイパーコンボウェポン』、グラビティプラネットボウガンが完成するのだ。
しかもワシなら奴らに施された去勢プログラムも解除できる」


(注:↑の図はイメージです)


クライオテック「最強のハイパーコンボウェポンとくれば、デストロンどころか、グランショッカーやブラッチャール帝国の奴らも欲しがるに決まっとる。
そうなりゃグラビティプラネットボウガンは奴らの憧れの的となり、値段はつけ放題! このエネルゴンキューブとも今日でお別れだ」

スラスト「だといいけど……」

ダージガン「負けが込んどるからなぁ……」


クライオテック「うるさい! ワシの計画は完璧だ! 愚痴っとる暇があるなら、裏のダ○ソーに夕食の材料でも探しに行け――っ!」

スラストダージガン「へ〜いっ!」


クライオテック「ナイトビートごときに邪魔されてたまるか……」



〜続く。〜

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