〜第47話 もしも、こんなペットショップがあったら……〜

スタスク「よお、苦情があるんだ。返品なんだが。お宅は酷いもんを売るね」

クッパ「今、昼休み中なんですが……」

スタスク「そんな事はどうでもいいの。このグル、30分前にこの店で買ったんだけどよ、どうなってんだよこれ一体さ?」

クッパ「どうかしました?」

スタスク「どうかしたかも無いもんだよ。死んじゃってるじゃないか」

クッパ「寝てるだけです」

スタスク「良く見てくれよ、これが死んでるかどうか見りゃわかりそうなもんだ。死んでるよ!」

クッパ「死んでないでしょうに、寝てるだけですよ」

スタスク「寝てるだけ?」

クッパ「ええ。見事なダークブルーの羽でしょう?」

スタスク「羽なんかどうでもいいんだ。死んでるんだから」

クッパ「違うって、寝てるんです」

スタスク「そんなに言うんなら、起こしてみりゃいいだろ」

スタスク「トリッピーちゃん、美味しいエネルゴンがあるよ〜! 起きなさ〜い!」

ガシャン

クッパ「ほら動いた」

スタスク「何言ってんだ。叩きゃ動くに決まってるだろ」

クッパ「そうじゃないってば」

スタスク「そうじゃなくないの!」

スタスク「トリッピーちゃ〜ん! トリッピィィィィィィィィィッ!」

ゴン、ゴン、ゴン!

スタスク「トリッピー、起きなさ〜い!」

ゴン、ゴン!

スタスク「トリッピー!」

スタスク「ほら死んでる。これでも寝てるって言うのかよ」

クッパ「狸寝入りしてんですよ」

スタスク「るっせぇコンチクショー、バカな事ばっか言って!」

スタスク「このグルはご臨終だ。30分前にこれを買った時、お前さんはなんつった?『動かないのは喋り過ぎて疲れてるからだ』と。
『ポッポー』ってひと鳴きすりゃ元気になるってそういう話だったんだよ?」

クッパ「ホームシックでセイバートロンが恋しいんです」

スタスク「セイバートロンが恋しい? ふざけんな」

スタスク「何でひっくり返ってるんだ?」

クッパ「仰向けに寝る種類なんです。可愛いでしょ?」

スタスク「籠の中をちょっと覗いて驚いたよ。何故、最初に横木にとまってたかと言うと……」

スタスク「釘で打ちつけてあったからじゃないか。よくこういう酷でぇものを売りつけるよ、お前さんとこは」

クッパ「打ち付けないと逃げちゃうんです」

スタスク「……いいか」

スタスク「このグルは4,000ボルトの電気ショックでも動かない。ご逝去してる。羽なんか開きもしない!」

クッパ「お客さん、それはあの……照れてるんですよ」

スタスク「いいかげんにしろよこのインチキ仮面!」

スタスク「グルが頬を染めたりして照れんのかよ! このグルはイッてる。息を引き取った。息絶え、鈴置さんに会いに行った。
“故グル”だ。死後硬直だ。お前さんが横木に打ち付けなけりゃ、今頃は埋葬されてた。一巻の終わり。あの世行き!
これが『寝てる』なんてよく言うよな。だったら、魚屋の店先は、あれみんな寝てるって言うのかよ。
エサは食わない鳴きもしなけりゃ、フンもしないのよ!」

スタスク「こういうのをね、普通は、“死亡”っつーんだよ!」

クッパ「……取り替えます」

スタスク「ただの苦情のはずが疲労困憊、いつもこうだ……」

クッパ「……グルは売り切れで」

スタスク「なるほど、だろうな」

クッパ「……ナメクジ(スラッグ)なら」

スタスク「……喋る?」

クッパ「……いいえ」

スタスク「公平な取引じゃない」

クッパ「こうしましょう。サレラシオにある兄の店でお取替えを」

スタスク「……よし」

カランカラーン♪

〜場面転換〜

〜ちょっと後で。〜

カランカラーン♪

スタスク「…………」

スタスク「…………」

スタスク「失礼。ここはサレラシオ?」

クッパ「いえ、ポルカサテメネです」

スタスク「……電車のせいだ」

カランカラーン♪

〜場面転換〜

スタスク「苦情を言いたい」

駅員「受けられませんね」

スタスク「何でだ?」

駅員「私は新聞記者、これはアルバイトなの」

スタスク「……関係ないでしょ?」

駅員「……引き延ばしは無理か」

スタスク「苦情を言いたい。サレラシオ行きがポルカサテメネに着いた」

駅員「サレラシオですよ」

スタスク「……店主の兄貴め、嘘をついたな」

駅員「鉄道は正確」

スタスク「サレラシオなら店に戻ろう」

駅員「…………」

〜場面転換〜

カランカラーン♪

スタスク「ここはサレラシオだな?」

クッパ「ええ」

スタスク「さっきポルカサテメネと言ったろ」

クッパ「えー、あー……駄洒落ですよ」

スタスク「……駄洒落?」

クッパ「いえいえ駄洒落ではなく……上からも下からも同じ奴」

スタスク「……回文?」

クッパ「それです」

スタスク「でも回文じゃないだろ。サレラシオの回文は“オシラレサ”だ」

クッパ「……ご用は?」

スタスク「……駄目だ。バカバカしくてこれ以上やってられない。駄目だこりゃ」



〜おしまい〜

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