〜第40話 永遠に会えない事だってあるわ 〜
タコの魔女
魔女「キョガァァァァァッ!」
汐莉「やっだぁ、気色悪い魔女……」
汐莉「さっさと片づけちゃおっと。この後用事もあるしね」 汐莉「はっ! たぁぁぁっ!」 ギシッ…… ビュオッ! ズガァァァァァァァァァァン! ガラ、ガラ…… ヨロッ…… 魔女「キョガァァァッ!」 汐莉「痛いじゃないの、このタコ!」 魔女「キョガァァァァァッ!」 汐莉「甘く見るんじゃ……」 汐莉「ないわよ!」 ズバッ! ズバッ! 汐莉「これでどう!?」 ドガァァァァァァァァァァン! 汐莉「ジャガイモと〜♪ タマネギと〜♪ お肉に蜂蜜、リンゴにチョコレート♪ それからインスタントコーヒー♪ 汐莉「あら……」 汐莉「あの子って確か、瀬利ちゃんがこの間……」 アカサカ「いやぁ、ちょうど杏子ちゃんが下校中で助かったよ。買い物に行く所だったし……」 汐莉「…………」 くれは「……うん。うん、ごめんね。私は元気だから。……うん。帰れる目途が付いたら、連絡するから。うん。お父さんにもよろしくね。うん、それじゃあ」 ピッ 汐莉「く〜れちゃん♪」
くれは「あ。お帰りなさい、汐莉。すみません、電話してました」 汐莉「ふ〜ん。くれちゃん、ご両親と仲悪いの?」 汐莉「人には簡単なきっかけで別れて、それでそのまま永遠に会えない事だってあるわ。会える時に会っとかないと、きっと後悔する日が来ると思うの〜」 〜翌日〜 瀬利「汐莉、お前……」 ほむら「そう言えば貴方、前に『独り者の宿無し』って言ってたけど……」 汐莉「おとーさんが騙されて、と〜んでもない借金しちゃてさ。それで両親の仲が悪くなっちゃって。 ほむら「……七海汐莉」 汐莉「で、どうだった、くれちゃん? ご両親は」 汐莉「そう。良かったわ、ちゃんとご両親に会えて。仲良さそうで……」 くれは(……そっか、汐莉の家族は……) くれは「……汐莉、今日は思い切って、ちょっといい所に食べに行きませんか」 くれは「ほら、私達だって一緒に住んでるんですし、もう家族みたいなものでしょう?」 ぎゅっ…… 汐莉「ありがと、くれちゃん。やっぱりくれちゃんって、優しいわね……」 ザッ…… ?「ここね、白幕。魔法少女が7人もいるのに、新しい魔女が全然生まれない街っていうのは」 ?「別にいいじゃない。あなた白いし、黒幕なんだから。まぁ、そんな事はどうでもいいけど。 キュゥべえ「期待してるよ、ナツミ」 魔女図鑑 タコの魔女 タコの魔女の手下 戻る
チキッ
ズバッ! ザシュゥッ!
使い魔「ギャェェェッ!」
汐莉「あら……?」
汐莉「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
汐莉「…………」
汐莉「っ痛たたた……」
ヒュバッ!
シャッ!
魔女「キョガァァァァァァァァッ!」
ズシャァァァァァァァァァァァッ!
魔女「キョガァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」
汐莉「はい、オシマイ♪」
〜場面転換〜
コーヒーを豆から淹れてるくれちゃんがわざわざインスタントコーヒー頼むって事は、今日はカレーかしらねぇ?
くれちゃんのお料理、美味しいからついつい食べ過ぎちゃうのよねぇ……」
杏子「なぁなぁ店長、今日の晩飯は何なんだ?」
アカサカ「そうだな……鮮魚の安売りやってるみたいだから、鮭のムニエルでも作るか」
杏子「え、店長そんなの作れんの!?」
アカサカ「馬鹿にすんな。高校の教科書に作り方載ってたからなんとか……」
杏子「教科書かよ……」
〜場面転換〜
くれは「ふぅ……」
汐莉「ご両親?」
くれは「ええ、母です。しばらく帰っていなかったので」
くれは「いえ、別にそんな事は……」
汐莉「それじゃあさ、くれちゃん。帰る場所があるんだったら、帰れる時は帰った方がいいと思うわ〜」
くれは「でも……」
くれは「汐莉……」
汐莉「そんな訳でぇ、くれちゃんには無理矢理おウチに帰ってもらっちゃったの〜♪」
瀬利「お前にしちゃお節介を焼いたもんだな」
ほむら「そうね……」
汐莉「な〜によなによ、アタシは本当の事言っただけよ。帰れる家があるなんて、妬ましいわ〜、もう」
汐莉「ん〜?」
ほむら「あ、ごめんなさい。言いたくなかったら、別に聞かないわ」
汐莉「べっつに〜? 隠すような事じゃないし〜。アタシんち、一家離散しちゃってるの〜」
ほむら・瀬利「…………」
……アタシにも妹がいたんだけど、アタシも妹も、親から構ってもらった記憶ってほとんど無いわねぇ。結局、借金は返せなくて、親は夜逃げしちゃって。
アタシ達姉妹は別々の施設に入ったんだけど、アタシ、な〜んか馴染めなくって。施設を飛び出してフラフラしてる時に、あのキュべちゃんと出会った、て訳」
汐莉「やっだぁ、ほむらちゃんてば。気にしないで。アタシは今の生活、結構気に入ってるの。
ただ、『無いとそれはそれでつまんないから、あるんなら大事にしろ』ってだけよ〜?」
ほむら「…………」
〜場面転換〜
くれは「ええ、私の元気そうな顔を見て安心したって言ってました。……有難う御座います。帰って、良かったです」
汐莉「?」
〜場面転換〜
?「堕ちて、何処へ行くの、零れた紅い実は? 嗚呼……手のひらをすり抜けてく……」
キュゥべえ「やあ、久しぶりだね」
キュゥべえ「そうさ。ところでボクの名前はキュゥべえなんだけど」
私が来たからには、貴方達の仕事も少しははかどるようになると思うわよ」
キュゥべえ「それは楽しみだね」
タコの魔女。その性質は独占。
この世の価値あるものは、全て自分の物であると思い込んでいる。
巨大な鼻は価値のある物を嗅ぎ分け、三つの巨大な目で価値ある物を探し出す。
そしてその触手で、ありとあらゆるものを自分の物にしている。
タコの魔女の手下。その役割は排斥。
魔女が目を付けた物を手に入れるのに障害となるものを排除するのが役目。
ただし、時に魔女が見初めた獲物すらも排除しようとしている。
〜おしまい〜