〜九州鉄道記念館〜

 九州鉄道記念館は、北九州市門司区にある鉄道に関する博物館です。2003年8月9日に開館しました。門司港駅の近くにあり、館の土地、建物、展示物は九州旅客鉄道(JR九州)の所有物ですが、管理運営は北九州市の指定管理者「九州鉄道記念館運営共同企業体」(構成企業:JR九州メンテナンス、JTB九州、JR九州エージェンシー)が行っています。
 敷地面積は約7,800平方メートルで、入り口の近くに旧〇哩標(旧ゼロマイル)があります。
 2007年(平成19年)11月30日には、本館(旧九州鉄道本社)が近代化産業遺産(北九州炭鉱 - 筑豊炭田からの石炭輸送・貿易関連遺産)に認定されました。
 施設は本館、車両展示場、ミニ鉄道公園の3つのエリアで構成されています。本館は1891年に建築された赤レンガ造りの初代九州鉄道本社社屋(のち鉄道院、鉄道省、国鉄が使用)を転用しており、九州鉄道の客車チブ37号をはじめ、鉄道模型やヘッドマークの展示、門司港 - 門司間の疑似運転体験ができる運転シミュレーター、キッズルームなどがあります。
 車両展示場には、鉄道車両9両が保存されています。
 入場料は大人300円・子供150円。休館日は毎月第2水曜です(7月は第2水・木曜、8月は休み無し)。
 2013年、開館10周年リニューアルに際し、中央ゲート横に前頭部展示コーナー(展示車両は3両)が設けられ、車両展示場にも寝台客車の追加が行われました。

それでは、九州鉄道記念館を見て参りましょう。

九州鉄道記念館の正面ゲートです。
右に見える機関車は「9600型 59634号」。愛称は「キュウロク」ですが、当機はその番号から「ごくろうさんよ」とも呼ばれていました。北九州地区最後の蒸気機関車です。


すぐそばには、旧〇哩標(旧ゼロマイル)があります。
1891年(明治24年)に九州鉄道会社が門司駅(現在の門司港駅)を開業した際、九州鉄道(鹿児島本線)の起点として定めたポイントです。
1914年(大正3年)に駅が現在の位置に移ったため、起点も移転しましたが、九州鉄道記念館の開業にあたり、「旧〇哩標」として再現されました。


「C59 1号」。東海道、山陽本線の主力機関車として誕生しました。
昭和31年門司に配属され、寝台特急「あさかぜ」を初め、急行「雲仙」等に使用され、昭和37年には熊本に転属しました。
昭和40年に熊本電化が完成した時点で、本線用で軸重が重く、転属先が無い事から廃車となりました。
廃車までに地球62週分を走行している準鉄道記念物なのだそうです。


「EF10 35号」。関門トンネル開通時に、区間の電化に対応して配置されたトンネル専用直流電気機関車です。
それ以来、北九州地区が電化される1961年(昭和36年)まで、本州と九州を結ぶ列車は全てEF10型でした。


「ED72 1号」。北九州電化で使用する交流電気機関車として登場しました。
暖房用ボイラーを乗せているため、車長が長く、中央に動力の伝わらない中間台車があるのが特徴です。


「キハ07 41号」。戦前の代表的な機械式(クラッチで変速する方式)気動車で、連結運転の時は双方の運転士が合図しながら走っていました。
戦前に製造された同形車で、原型を保っているのはこの車両のみです。


キハ07の運転席です。


座席。ふんだんに使われている木材が、時代を感じさせます。


「クハ481-603号 にちりん」。……誰だ、「ネニチリーン(『こんにちは』の意)」とか言ってるの(爆)。


クハ481、クネハ581、14系寝台車は、内部を見学する事が出来ます。


「クネハ581-8号」。『超特急ヒカリアン』では、ラピートの師匠である幻のヒカリアン・月光として登場しました。


実は、初めてここに来た時はたまたま休館日でして、悔しかったので、駐車場の方からこの写真だけを撮りました(苦笑)。


クネハ581の客車内です。


寝台車なので、座席をベッド状にする事も出来ます。今の目で見るとかえって新鮮なような。


初の寝台「電車」である月光をアピールする広告がかかっています。


14系新台客車。ヘッドマークは「富士」のものです。『超特急ヒカリアン』にも、「さくら」の息子として子供キャラで出てましたね。


14系の車内です。


前頭部展示コーナー。
展示されているのは左から485系、ED76 1号、EF30 3号で、運転台に座って機関士気分を味わえる体感型展示車両になっています。


485系の運転席です。


敷地内にある、ミニ鉄道公園の駅です。
日本の鉄道の博物館では全国初であるミニ鉄道公園では、屋外に設けられた450mmゲージのレール上を走る模型鉄道車両(787系・813系・883系・885系・キハ72系)に乗車し、運転することができます(実際は自動運転です)。


階段の上から、駅の全景を。


記念館の本館。旧九州鉄道本社屋を転用した物です。


本館を正面から。明治21年(1888年)、九州最初の鉄道会社として「九州鉄道会社」が設立されました。


すぐ側には、解説のパネルが有ります。


入り口から入ると、正面に明治時代の駅の風景が再現されています。


客車には、中に入る事も出来ます。座席が畳というのが興味深いです。


今度は、入り口から右手側を見てみましょう。


811系電車の運転シュミレーションが体験できます。1回100円で、難易度も「ビギナー」「ノーマル」「プロフェッショナル」の三段階から選べます。


運転台。右下にある料金箱(?)に100円を入れると、ゲームが始まります。距離は2駅分、時間にして8分ほどだそうです。


さらに奥には、九州一周をイメージした鉄道のジオラマ「九州の鉄道大パノラマ」が設置されています。


写真手前の建物は博多駅です。




入り口から左手側は、お土産コーナー「ショップ・ゼロマイル」になっています。



それでは今度は2階に上がってみましょう。
2階には「情報コーナー」や実物資料、昔の制服などを展示した「常設展示コーナー」、季節ごとに違った物を展示している「企画展示コーナー」があります。
企画展示コーナーのみは撮影不可となっていますので、写真は撮っていません。



鉄道の実物資料。何に使われていたかのクイズ付きです(笑)。


駅弁のパッケージの数々です。


昔の切符(硬券)と改札鋏。


記念切符です。


こうやって見てみると、昔から色々な切符があったことが分かって面白いです。


昔の駅事務室を再現したコーナーです。昭和30年代の駅事務室を再現しているのだそうです。


机の上の扇風機が何とも言えません(笑)。


レトロチックな電話や火鉢なども置いてあります。


「走れ!蒸気機関車」のコーナー。三つのボタンを押すと、右から「機関車の汽笛」「石炭をくべる音」「機関車のブレーキ音」を聞くことが出来ます。


機関車のヘッドマークも展示されています。


石炭の塊です。


「名門列車『つばめ』コーナー」。つばめに関するヘッドマークや模型などが展示されています。


昔の制服の展示もあります。


近づきすぎるとガラスに私の姿が写り込んでしまうので、こんな中途半端な写真しか有りませんが、なにとぞご容赦下さいませ。m(_ _;)m


明治・大正時代のレールです。
今では全て日本国内で造られている鉄道のレールも、明治や大正の鉄道が始まった頃から主要幹線が整備される時代まではヨーロッパやアメリカからの輸入品に頼っていました。
国産のレールの製造が始まったのは1901年(明治34年)のことで、八幡製鉄所で製造されたのがはじまりだそうです。


各レールが比較されています。


明治時代の犬釘(左)と、現在の犬釘(右)です。「犬釘」とは、レールを枕木に固定するために用いられる釘で、頭の部分が犬の頭に似ていることからそう名付けられたのだそうです。


蒸気機関車「D51」の模型です。


「鉄道公報」。鉄道院(または鉄道省など)から発行された、総裁通達文書や、人事、省令、告示、注意事項などの通達事項が記されていて、
車両の配置換えや改造、運賃改正や手荷物の託送などがこれによって通達されていたそうです。


「九鉄報告」。九州鉄道会社が1888年(明治21年)に創立してから1907年(明治40年)に国有化されるまでの20年間にわたる九州鉄道の事業報告をまとめた物で、
株主総会において公表された物です。1967年(昭和42年)10月14日、準鉄道記念物に指定されました。


博多駅の時刻表。1926年(大正15年)改正の博多駅発時刻表で、醤油製造元である松村久商店(現・株式会社ジョーキュウ)が宣伝のために製作した物です。
左右中程にジョーキュウ醤油の宣伝が赤地に白い字で載っています。


「路線平面図」。1913年(大正2年)頃に作成された物で、門司駅(現在の門司港駅)から西小倉駅間の線路平面図です。
開業時の門司駅舎に加えて、現在の位置に建築された門司駅舎(現在の門司港駅舎)や変更点が朱で書き足され、長年利用されていたことが分かります。
1943年(昭和18年)に、「秘の取り扱いを為すべし」という下関要塞司令部の印が左上に押されています。


路線平面図をアップで。当然ながら、かなり年代を感じさせる状態になっています。



以上、九州鉄道記念館でした。


戻る