〜タケノコ〜

ハッピー「うわぁ〜、すごい」

ウエスト「店長、どうしたの、このタケノコ?」

アカサカ「貰い物なんだけどさ、ちょっと多かったから、おすそ分けだ」

ウエストハッピー「有難う〜♪」

アカサカ「タケノコと言えばな、『タケシ』『タカシ』『タク』と言った名前があるが、これらは全部、竹が由来してるんだぞ」

ウエスト「え、そうなの? 読みが同じなだけじゃなかったんだ」

アカサカ「タケノコってのは、一ヶ月もあれば背の高い竹になるだろ? そのように勢いよく盛んな事を『たけしい』っつって、『猛々しい』もそれが語源になってんだ
そうそう、あの悪名高い『生類憐みの令』では、『大きくなるタケノコを小さい内に食べるのは可哀想』っつって、筍堀りが禁止された事もあるんだぜ」

ハッピー「なんか、冗談みたいな話だね……」

アカサカ「タケノコを縦に切ると、横に長い隙間が重なってるだろ? この隙間が竹の節の一つになってる。
モウチクソウの場合、50もの節が一本のタケノコに閉じ込められてるんだ」

ウエスト「へぇ〜……」

アカサカ「タケノコはそれ自体が成長するのは勿論だが、その中の節の一つ一つが成長するんで、全体の伸びがとても早い。
一日に30〜40cmは楽に成長するし、中には120cmって記録もあって、タケノコの成長は雨が降った後、気温が上がった時が最も著しいんだ」

ハッピー「120cm!? 凄いんだねぇ……」

アカサカ「それからタケノコを包んでる皮だが、これは葉鞘(ようしょう)って言って、イネ科の植物はこんな作りをしてるんだ。
この皮は成長する竹を保護する役目を兼ねてるが、竹が成長し切ると乾ききって剥げ落ちる。これを俳句歳時記じゃ『竹皮を脱ぐ』っつって、初夏の季語になってる。
んで、この皮は大きくて強く、内側はツルツルしてて食べ物もくっつかねえから、昔の人はお握りを包んだり鯖寿司に使ったり、色々と利用したんだ」

ウエストハッピー「ふんふん」

アカサカ「一方で、同じイネ科の単子葉植物である笹は皮が落ちない。両者の区別は難しいんだが、竹は皮を脱いで、笹は脱がないって覚えりゃ簡単だな」

ハッピー「そうなんだ。……ところで店長って、キノコ派? タケノコ派?」

アカサカ「……お前そりゃお菓子だろ……」

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