〜食い合わせ〜

杏子「う〜、いててて……」

アカサカ「どうしたんだい、杏子ちゃん!? お腹押さえて!」

杏子「腹が痛てぇんだよ……食い合わせが悪かったのかな……?」

アカサカ「“食い合わせが悪い”って良く言うけど、あれ、実は全くの迷信だぞ?」

杏子「そうなの……?」

アカサカ「ああ。『ウナギと梅干し』、『スイカと天ぷら』、『スイカとタコ』、『カニと氷水』、『きじときくらげ』、『鮭とイルカ』、『牛肉とキビ』
……挙げればキリが無くて、江戸時代の学者、貝原益軒の『養生訓』にもそんな事が詳細に記されてるが、医学的な見地からは何ら根拠が無いんだってさ」

杏子「…………」

アカサカ「二つ以上の食品の食べ合わせで、身体に悪い毒素が生じる事はまず有り得ないんだって。
何でこんな迷信が生まれたのかははっきりしないが、珍妙でマズそうな取り合わせが多い事が第一の理由なんだそうだ」

杏子「店長〜、そんな事より、胃薬……」

アカサカ「ああ、悪い悪い。しかし、本当に何食ったんだ? 心当たり無いのか?」

杏子「そう言えば、その机の上の缶詰を……」

アカサカ「ばっ! これ、一昨日開けた缶詰で、捨てようと思ってたんだぞ!」

杏子「だって、勿体ないじゃんか……」

アカサカ「…………」

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