〜蚊取り線香〜

くれは「汐莉、そろそろ寝ましょうか」

汐莉「そうねぇ。でも、最近、蚊が気になるの〜……」

くれは「それなら大丈夫です。蚊取り線香買ってますから。昨日買ったばっかりの新品ですから、効き目はばっちりですよ」

汐莉「何それ? 蚊取り線香って、時間が経つと効き目が無くなるの?」

くれは「ええ。そもそも蚊取り線香は、以前はジョチュウギクの花から取り出したピレトリン、今はピレスロイドという成分に
粘着剤とカビ止めの薬、それから緑色の染料を加えて、湯で固く練って圧縮機から押し出し、渦巻き状や線状にしたものです」

汐莉「うんうん……」

くれは「蚊を駆除する成分はピレトリンですが、ピレトリンは人間にはほとんど毒作用はありません。このピレトリンは蚊取り線香に火をつけると、熱によって少しずつ気体になり、
これが働く訳ですが、わずかでも揮発性があるため、長い間ほったらかしにしておくと、有効成分が空気中に逃げてしまいます

汐莉「へ〜……」

くれは「それに、ピレトリンが分解して、昆虫に対して無毒な物になっていくでしょう。煙だけでも蚊をいぶす役には立つでしょうけどね」

汐莉「そうなんだ。それじゃくれちゃん、今日は新品の蚊取り線香つけて、一緒のお布団で寝ましょ〜♪」

くれは「……それじゃあ余計に寝苦しいじゃないですか」

戻る