〜禁断の果実〜

アカサカ「……という訳で、実際にヨモツヘグリアームズを召喚してみたわけだが。
禁断の果実の力を持つ、極アームズに対抗するために使われたアームズだ」

杏子「見た目は赤いブドウだな」

アカサカ「まぁ、東欧のスラブ語圏じゃ、ブドウが禁断の果実になってるからな。
ユダヤ教神秘思想の書籍『ゾーハル』でも禁断の木の実をブドウとしてるし、間違ってはいない」

杏子「そうなの? 普通、禁断の果実っていったらリンゴとかイチジクのイメージがあるけどよ」

アカサカ「実のところ、禁断の果実はいろんな解釈があるんだ。
西ヨーロッパだと、禁断の果実はしばしばリンゴの実になってるけど、これはラテン語で『善悪の知識の木』の『悪の』の部分にあたる『malus』を、
同じつづりの『リンゴ』の意味と取り違えてしまったか、二重の意味が故意に含まれていると読み取ってしまったものとされてるんだ」

杏子「へぇ〜……」

アカサカ「『malus』は『邪悪な』を意味する形容詞なんだけど、『リンゴ』の意味の名詞も『malus』になるってわけ。
創世記2章17の『善と悪の知識の木』の部分は、ヴルガータ(標準ラテン語訳聖書)では、『de ligno autem scientiae boni et mali』ってなってる(mali は malus の属格)」

杏子「ふ〜ん」

アカサカ「他にユダヤ教の律法学者の間での伝統では、禁断の果実を小麦としていた。
コムギはヘブライ語では『khitah』で、罪を意味する『khet』に通じるって理由なんだと。また、リンゴ以前から親しまれ、西アジア原産の果物でもあるマルメロを禁断の果実と信じる人々もいる。
その他、トマト、ザクロ、キャロブ、シトロン、ナシ、ダチュラなどが『禁断の果実』の可能性がある果物に挙げられてる……って。杏子ちゃん、よだれ」

杏子「……わり。話聞いてたらハラ減ってきちゃたよ」

アカサカ「ああ、そう。時間もあれだし、メシでも食いに行くか」

杏子「よっしゃ! 何食わせてくれんだ?」

アカサカ「この間、近所にフルーツパーラーがオープンしたんだが……」

杏子「そういうのはもういいっつの」

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