〜卵〜

アカサカ「そーっと、そーっと……よっしゃ、出来たぞ!」

ウエスト「店長、何やってるの?」

アカサカ「卵を立たせてたんだよ」

ウエスト「え、卵が立つわけ……ホントだ、立ってる!」

アカサカ「中国の古い書物(『天賢』や『秘密の萬華鏡』など)によると『立春の日には卵が立つ』って言われてるが、実際に1945年、
中国国民党の魏さんが試してみたところ、実際に立ったんだ。日本じゃ雪の研究で有名な中谷宇吉郎博士が“3、4分の時間をかけて”試してみたところ、実際に立った」

ウエスト「ふ〜ん」

アカサカ「なんで卵が立つのかって言うと、卵の表面は案外デコボコしてるからだ。特に新しい卵ほど、表面がざらざらしてるんだ」

ウエスト「うんうん……」

アカサカ「カーボン紙に卵を立ててその設置点を調べてみると、黒い点が三つ以上できる。例えば椅子を例に考えてみればわかるが、
座れるのは足が三本以上の場合だ。同じ理屈で、卵の場合も接触点が三つ以上あれば立たせられるって訳さ」

ウエスト「へぇ〜……」

アカサカ「けど、どんな卵でも立つ訳じゃあない。まず細長い卵は無理だし、表面がツルツルしてる卵も無理だ。
最後に黄身や空気室が極端にズレてたり、黄身が二つ入ってる卵も無理だが、これは生憎、外からじゃわからねえな」

ウエスト「なるほどねぇ〜……」

アカサカ「ま、なんにせよ新大陸を発見したコロンブスの帰国歓迎会の席でもうちょっと根気のある人がいたら、『コロンブスの卵』は生まれなかったって事だな」

ウエスト「でも店長、時間かけてそんなことやってるって、店長ヒマなの?」

アカサカ「……ひっぱたくよ?」


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