〜カラス〜

汐莉「はふ……。くれちゃん、お早う〜」

くれは「お早う御座います、汐莉。良く眠れましたか? 朝ご飯、出来てますよ」

汐莉「ありがと、くれちゃん」

くれは「そう言えば昨日の続きなんですけど、田舎派と都会派に分かれてる鳥は他にもいて、カラスなんかもそうなんですよ」

汐莉「そうなの?」

くれは「ええ。真っ黒なカラスにはハシブトガラスハシボソガラスがいて、バードウォッチングはこの二種類を判別するところから始まりますが、ボソは北から、ブトは南から日本に渡って来たと言われています。
だからボソは開けた田園が好きで、ブトは元々南洋の森林に棲んでいましたから、立体的な都会はブトにとっては森林と同じなんです。都会で見かけるカラスは、まずブトと思っていいんだそうですよ」

汐莉「へぇ〜……」

くれは「だからゴンベエさんの蒔いた種をほじくったのはボソで、『七つの子』に出てくるのは山に古巣を持っているからブトでしょうね。
それからそのハシボソガラスは、ヨーロッパでは名前を変えてズキンガラスと言われています
これは身体の半分が白い羽毛でおおわれているためで、両者は全く同じ鳥なんですよ。亜種として分類されてはいますが。
他にも半身が白い小型のコクマルガラスや、白い斑点模様が入ったホシガラス、首に白い輪の入ったクビワガラス、なんてのもいます」

汐莉「面白いわねぇ。……そう言えば、昨日、自分でお布団に入った記憶が無いんだけど……確か、くれちゃんに膝枕してもらおうと思って抱き着いたような……」

くれは「……気のせいですよ」

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