〜シーラカンス〜

ガルフ「ゴンベッサ、ゴンベッサ……」

ヘプター「そういや、『ゴンベッサ』ってどういう意味なんだ?」

シャトガン「『ゴンベッサ』ってのは、元々はコモロ諸島の言葉で『食えない魚』『使えない魚』って意味だ。
シーラカンスの肉はブラシみたいな食感で、お世辞にも美味いとは言えないような味だったからそういう名前で呼ばれてたらしい。
けど、『生きている化石』として高く買ってもらえるから、今じゃ『幸せを呼ぶ魚』って意味になったんだと」

ヘプター「へ〜」

シャトガン「それまでシーラカンスは7000万年くらい前に絶滅したと考えられてたんだが、1938年12月に南アフリカでラティマー女史らに調べられて生存が明らかになったんだ。
学名の『ラティメリア・カルムナエ(Latimeria chalumnae)』ってのはここからきてる。
生息地域は世界中でただ一か所、南アフリカ南東とマダガスカル島との間に点在するコモロ諸島の海域だ」

ヘプター「ほうほう……」

シャトガン「日本でも末広恭雄博士を総指揮とした調査隊が結成されて、ついに1981年の12月31日に、水深200mの深さから、8時間に及ぶ手釣りで捕獲された。
因みにこの時、エサとしてクロタチカマス科の魚が使われてたんだと」

ヘプター「ふ〜ん」

シャトガン「ちなみにシーラカンスにゃ、背骨がねえ。固い背骨の代わりに頭部から尾部に脊柱(ギリシャ語で『シーラカンス』)と呼ばれるホース状の管がつながってて、その中は油のような液体で満たされてる。
それから心臓や脳も体の割には小さくて、脳を例にとると普通の魚類では体重の0.1〜1%位あるところが、シーラカンスだと約0.01%位しかねぇ。
ただし脳の成分には、高分子タンパク群が数多く見られ、脳に多いガングリオシドって成分タイプも高等脊椎動物型だったんだそうだ。
だから脳に関する限り、シーラカンスは魚類よりも山椒魚やイモリみたいな有尾両生類に近いんだとよ」

ヘプター「……詳しいな」

シャトガン「宇宙にいると、色々な物が見えるのさ」

ヘプター「そういうモンかね……」

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