〜タバコ〜

ハッピー「うわっ、タバコ臭〜い……」

ウエスト「店長、もしかして……」

アカサカ「オレじゃねーよ。ウチは誰も吸わないの知ってんだろ。昼間にここで取引やったから、そん時のだな。しかもタバコ忘れてってるし……」

ウエスト「不用心だねぇ。火事になったらどうするつもりなんだろ。周りだって迷惑なのに……」

アカサカ「全くだな。そう言えば『タバコの火が消えにくいのは硝石が含まれてるから』なんてのがあるが、ありゃ全くの俗説で、
本当はタバコの葉に他の植物より多く無機物が含まれてるからなんだ」

ウエスト「ふ〜ん?」

アカサカ「で、紙巻タバコには細かい通気口があって、酸素が絶えず含まれてるから、って理由もある。煙草に火をつけて吸ったその瞬間の温度は、実に800〜850℃って言われてる。
この火の高温は、タバコの成分を分解して煙とし、それがタバコ特有の味と匂いの元になってんだと」

ウエスト「へ〜……」

アカサカ「あと、信じられないかも知れねえが、タバコは昔、ヨーロッパじゃ医薬品とされてたんだぜ」

ウエスト「ウソ!?」

アカサカ「ヨーロッパにタバコを伝えたのは、かのコロンブスだ。アメリカ新大陸を発見した時にインディアン達が吸っていたのを持ち帰ったんだが、
当初はタバコは園芸用か、さっき言った通り医薬品として紹介されたんだ。
つまりタバコを吸って、脳の中の悪い湿気を取り除いたり、神経痛や喘息を直したり。それからペストの予防薬としても使われてたんだってさ」

ウエスト「ふ〜ん……」

アカサカ「やがてタバコは医療用なんかじゃなくて、単なる喫煙用の草だって伝えられた後も、しばらくは医薬的効果があるって信じられてた。
イギリスの小学校じゃ、パイプとタバコを必ず持って登校し、授業の合間の休み時間に、先生の指示のもとに一斉にパイプに火をつけてたんだと」

ウエスト「なんか、逆に不健康な話だね……」

アカサカ「全くだ」

ハッピー「二人とも……どうでもいいから、この臭いなんとかして……」

アカサカウエスト「はい……」

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