〜吸い取り紙〜

ゆの「わっ! 墨こぼしちゃったぁ……」

宮子「あ〜あ〜。ゆのっち、吸い取り紙使いなよ」

ゆの「ありがと、宮ちゃん……。でも、吸い取り紙ってどうしてこんなによく吸い取れるのかな?」

宮子「それはね、パルプだけで作った紙だからなんだよ。普通の紙は作る時にヤニから作った石鹸みたいなものや
粘土も混ぜるんだけど、これは紙を不透明に、硬くして、表面を滑らかにするんだ」

ゆの「へ〜」

宮子「吸い取り紙はこういった物を混ぜないで、綿や木のパルプだけで作るから、ざらざらして毛羽立ってるんだ。
吸い取り紙がインクを吸うのは、吸い取り紙の原料のパルプの筋が水を吸い上げる事もあるんだけど、
それよりも吸い取り紙の筋と筋の隙間を水が上がるからなんだ」

ゆの「そうなんだ〜」

宮子「万年筆からインクが出てくるのは、重さで降りるんじゃなくて、ペン先の内側についてるペン芯を下がって来るんだけど、
それと同じに吸い取り紙だと紙の筋を作ってる小さな分子と水の分子が引っ張り合うから、水が吸い上げられる、ってわけ」

ゆの「ふ〜ん。ところで宮ちゃん、なんで吸い取り紙なんて持ってたの?」

宮子「後で鼻かむのに使おうと思って」

ゆの「…………」

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