息穣は息土(そくど)とも言って、絶えず増殖し続けるという特性を持っている。神話によれば天帝の至宝の一つとされ、秘密の場所に隠されていたとされている。
 天帝が尭(ぎょう)だった時代の事。22年間にも渡る大洪水が地上を襲った事があったが、この時、治水を命じられた鯀(こん)という神がこの息穣を盗んで洪水を収めようとしたという。盗んだ量はごく僅かだったが息穣はどんどん増えて巨大な堤防となり、治水工事は成功かと見えた。しかし盗みを知った尭は鯀を殺し、このため工事は失敗した。
 他にもいくつかバリエーションがあり、『盗んだのは鯀と禹(う)である』とか、『尭は祝融を派遣し、祝融は羽山(地名)で鯀を処刑した』とか、『禹は天国へ向かう。黄帝に懇願し、彼から魔法の亀の背に乗せられるだけの息壌を譲り受け、大洪水の元となっていた233,559ヶ所の泉を塞ぐために使った』とか、また別の話では『息壌は太帝から盗まれ、あるいは授かり、そして祝融以外のものが鯀を処刑した』とも伝えられている。

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